「骨肉の争い」という諺がありますが、これは家族や親せきといった血縁者同士で対立する様を表しています。
身内でなぜそんな醜い争いをしなければいけないのか…と思ってしまいますが、現実でもこの「骨肉の争い」は起こり得るものです。そのもっとも代表的な例として不動産相続に関する問題があります。
今回は、不動産相続に関して起こるトラブルおよびその対策方法について、ご紹介していきたいと思います。
不動産相続トラブルにはどんなケースがあるのか
では実際に、どのような不動産相続に関したトラブルがあるのかを見ていきましょう。
両親が亡くなり子どもが不動産を相続することになった場合、主に下記のようなトラブルが発生することが考えられます。
・分配方法のトラブル
・分配率のトラブル
・名義変更に関するトラブル
・不動産を残した場合の未来に掛かる費用やメンテナンスに対するトラブル
・相続税を納める場合のトラブル
「分配方法のトラブル」としては、例えば不動産を売却して現金化した後に、その現金を子どもの人数分に分配しよう…という方法がもっともシンプルに思われますが、相続者全員の意志が一致しなければ売却することはできません。
長年過ごした実家や思い入れの深い土地であれば「売却せずに残しておきたい」という意見も出てくることでしょう。
相続者全員が一致する意見の元に分配する方法を探ることが出来ず、トラブルに発展する場合があります。
分配方法が決まったとしても、それぞれの配分量について、意見がまとまらずにトラブルに発展する場合もあります。
例えば生前介護が必要であった場合、その介護を引き受けていた子どもが「他の兄弟よりも多く財産分与を受けたい」というケースは十分に考えられます。
故人ならびに兄弟の生前での関り方によってトラブルへと発展することが考えられるのです。
不動産の名義変更についてですが、相続する不動産の名義が稀に祖父など、故人のその上の代の名義のまま放置されていた…というケースがあります。
このような場合、遡って改めて書類を作成しなければならず、かなりの労力とそれに伴う費用が発生してしまいトラブルへと繋がってしまうのです。
また、すぐには売却などの措置は取らずにそのまま残しておくというケースもあります。
その場合、将来的に掛かるメンテナンス費や万が一空き家となってしまった時の対処などの際にトラブルが起こる可能性があります。
相続税に関しても、もし不動産を売却しなかった場合には手元の貯蓄で相続税を支払わなくてはなりません。
また、それ以外にも「思わぬ遺産相続を主張する人物が登場した(隠し子など)」「片寄った内容の遺言書が出てきた」というような問題も考えられます。
不動産相続トラブルに対する対策とは
説明してきたようなトラブルが起こらないためにも、事前対策として生前に家族間できちんと話合いを行っておくことをおすすめします。
家族観でコミュニケーションをとり、事前にこのようなトラブルへの対策を行っておくことがもっとも重要と言えるのです。
具体的には生前に「財産目録を作成しておく」「相続人数を明確にしておく」「遺産の分け方をはっきりとしておく」といったことを行っておくと良いでしょう。
遺言を作成しておけば安心…と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、その内容が不平等な内容であったり、また相続税やお金に関わる点を考慮していない内容の場合にも、トラブルへ発展する可能性が高くなります。
そのような点も踏まえ家族でコミュニケーションを常に取りつつ、遺言は専門家を交えて作成することをおすすめ致します。
まとめ
不動産相続に関するトラブルとその対処について、ご紹介しました。
生前から相続に関する話をするなんて生々しく感じてしまいますが、亡くなってから親族間で不必要なトラブルを引き起こさないためにも、事前に確認しておいた方が安心と言えます。